マーカス・ミラー / SO WHAT?

4.5

SO WHAT?-1 “世界最高峰のベーシスト”&マルチ・プレイヤー&プロデューサーの一人であるマーカス・ミラーは“世界最高峰のエンターテイナー”である。

 異論がある? ではマーカス・ミラーライブDVDSO WHAT?』を視聴してほしい。
 討論はその後である。見れば納得!なのだから…。

 最高の演奏である。マーカス・ミラーの全体のサウンドを見渡すバランス感覚が素晴らしい。そして,このハイレベルな演奏を分かりやすく“魅せる”一流のパフォーマンス! マーカス・ミラーライブは,いつでもエンターテイメント・ショーなのだ。

 『SO WHAT?』は,1998年の「JAZZ BALTICA」と2003年の「JAZZ LINE」の2部構成。
 「JAZZ BALTICA」の【TUTU】はフィーチャリングマイルス・デイビス! 仮想マイルス・デイビスマイルス・チルドレン=マイケル‘パチェス’スチュワート! パチェス・スチュワートがミュートからオープンに切り替える瞬間の“ゾクゾク感”!
 後半はプージー・ベルドラミングが冴え渡る中,ハイラム・ブロックギターが全てを切り裂いていく! ステージを支配し観客をも支配する。パチェス・スチュワートを押しのけて全てを持っていく! ハイラム・ブロックは“ギター・ヒーロー”である。
 【TUTU】のアクセントとしてのマーカス・ミラーの“ジャジーな”ベースソロは,フェンダー・ジャズベで表現できる“4弦の芸術品”である。

 『SO WHAT?』のハイライトは【PANTHER】! 【PANTHER】を見たい。毎日見たい。いつでも見たい。“世界最高峰のベーシストマーカス・ミラーの大降臨!
 2回に渡る最強のベースソロでは,世界中の凄テク・ベーシストたちの悲鳴が聞こえてきそうです。もうやめて。いや,やめないで。問答無用のベースソロがハイライト!

 【AMAZING GRACE】~【STRANG FRUIT】~【MAPUTO】。今度は“マルチ・プレイヤー”マーカス・ミラーの大降臨! 【AMAZING GRACE】【STRANG FRUIT】でのバス・クラリネットに【MAPUTO】でのソプラノ・サックスは,本職であるはずのロジャー・バイアムを完全に“喰ってしまっている”。
 マーカス・ミラーの“プロ顔負け”のソプラノ・サックスを間近で見せつけられたロジャー・バイアムがスパークするも「時すでに遅し」。マーカス・ミラーはその場を立ち去り,さらに遠くへ…。

 【COME TOGETHER】におけるマーカス・ミラーイントロでの妙技は必見! 4人での「アヒルの行進」なのだが,ロジャー・バイアムだけが「ショーマン・シップ」できていないのが残念である。
 やっぱりマーカス・バンドのサックス奏者はケニー・ギャレットこそ最強である。

SO WHAT?-2 “世界最高峰のベーシストマーカス・ミラーは,先進的なスタイルだけでなくジャズの王道をも外さない。【SO WHAT】での実に端正で正統派なベース・プレイ。【ETHOPIA】でのショーマン・シップとクールな職人技の2刀流に驚いてしまう。特に【SO WHAT】は,もろロン・カーターなのに,やっぱりマーカス・ミラーしてみせる。素晴らしい。

 「JAZZ LINE」のステージで多用される,メンバー全員のソロ廻しに,マーカス・ミラージャズ観が漂っているように思える。
 特にギターディーン・ブラウン! エレアコのボトルネックを指にはめたまま演奏するスライド奏法と,あの引きつったようなディーン・ブラウン特有のノリがバッチリハマッテいる。
 ディーン・ブラウンにとっては,マーカス・ミラーのステージこそ最高の快感を味わえる場所なのだと思う。“プロデューサー”マーカス・ミラーの天賦の才能はライブで炸裂する! 管理人はマーカス・ミラーを神と信じる。

 
JAZZ BALTICA 1998
01. TUTU
02. PANTHER
03. STRANGE FRUIT
04. MAPUTO
05. COME TOGETHER

 
MARCUS MILLER : Bass, Soprano Sax
HIRAM BULLOCK : Guitar
MICHAEL “PATCHES” STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
LEROY DAVIS : Keyboards
CHORLES “POOGIE” BELL : Drums

 
JAZZ LINE 2003
06. SO WHAT
07. ETHOPIA

 
MARCUS MILLER : Bass, Soprano Sax
DEAN BROWN : Guitar
MICHAEL “PATCHES” STEWART : Trumpet
ROGER BYAM : Tenor Sax
BRUCE HOWERS : Keyboards
CHORLES “POOGIE” BELL : Drums

(FOOTSTOMP/FOOTSTOMP 2005年発売/FSVD-003)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

コメント

  1. 風の少年 より:

    こんばんは♪
    マーカスの作品の中で、ボクは「テイルズ」が好きでよく聴いてました。あと、デビッド・サンボーン&ボブ・ジェームスのアルバムでマプートが入ってましたね。あの曲は名曲だと思います!
    このライブもマーカスの魅力満載と言った感じで、興味津々です♪
    日本で果たして、彼のような存在っているのかな~なんて思いました。偶然ですが、今、ウェイン・ショーターの「ハイライフ」を聴いてました。これもマーカスのオーラを感じる作品ですね。

  2. セラビーセラビー より:

    風の少年さん,コメントありがとうございます♪
    『テイルズ』でのケニー・ギャレット。『ダブル・ヴィジョン』でのデビッド・サンボーン。『ハイライフ』でのウェイン・ショーター。マーカス・ミラーは自身は一歩引いてボトムを操るのが大得意ですね。ドラマーみたいなベーシストだと思います。いい曲も書きますしファースト・コールのセッション・ベーシスト出身だけあって半端ないテクニックです。
    マーカス・レベルの凄腕ベーシストはいますが,マーカスのようなマルチ・プレイヤーは世界でも他に見当たりません。日本では青木さんが一番マーカスに近い存在だったかもしれません。『テイルズ』が好きなら『ソー・ホワット?』も楽しめると思います。

  3. のぶひで より:

    マーカス・バンドのサックスは私もケニー・ギャレットが最強だと思います。エヴェレット・ハープもライブ・アンダー・ザ・スカイでも見ましたが良かったですよ。マーカス・ミラーはセラビーさんご指摘のドラマーで例えればアート・ブレイキーでしょうね。

  4. セラビーセラビー より:

    のぶひでさん,コメントありがとうございます♪
    エヴェレット・ハープもいいですね。マーカス=アート・ブレイキーは分かります。マイルス・デイビスと言い,アート・ブレイキーと言い,バンド・リーダーとしての才能の共通点ですよねっ。

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