今でこそジャズCDも,トータル・コーディネイトの統一感,が重視されているが,その昔のブルーノートやらコンテンポラリーやらサヴォイやらの名盤の多くは,切り貼りだらけの折衷盤であった。
「おいおい,なんでこんなに録音日もメンバーも音質もバラバラなものを寄せ集めるか~」。アルバムの編集履歴を見渡すと,あのアルフレッド・ライオンも商売人であって本当にジャズ好きなのかと疑ってしまいたくなる?
しかし中には曲数&収録時間の関係で,統一感を犠牲にした奇跡のコンパイル物が産み落とされてきたのも事実。そしてここにマイルス・デイビスの2つの時代の頂点を収めたDVDが産み落とされた。
『PLAY IT COOL』。やっぱりブート。またしてもブート。
『PLAY IT COOL』は,世間が認めるマイルス・デイビスの最高のクインテット=第2次黄金クインテットとマニアが認めるマイルス・デイビスの最高のクインテット=ロスト・クインテットのコンパイル盤DVD。
これは贅沢すぎる。出来れば別々に完全盤を至急発売してほしい。「アコースティックなのにエレクトリックで,エレクトリックなのにアコースティックな」過渡期なのに成熟していた2つのマイルス・デイビス・クインテット!
『PLAY IT COOL』を視聴して初めて気付く,マイルス・デイビスの「点と線」! いや~,やっぱりマイルス・デイビスは凄い。ここがこうつながっているとは…。答えは「見てのお楽しみ」である。
突き抜けるハービー・ハンコック。帝王さえも煽りまくるトニー・ウィリアムスの演奏は,もはやアコースティックの表現ではない。
とは言えチック・コリアとジャック・デジョネットの妖しい演奏を目にするとハービー・ハンコックであってもトニー・ウィリアムスであったても,爆裂する電化マイルスでの創造性には役不足に思えてしまう。
その意味でマイルス・デイビスが最後まで手放さなかったウェイン・ショーター。『PLAY IT COOL』での2つのクインテットを続けて見ると,なぜマイルスがショーターを寵愛してきたのかがよ~く分かる。答えは再び「見てのお楽しみ」である。
この辺りのバンド・メンバーの舵取りに“帝王”マイルス・デイビスの凄さを感じてしまう。
Stockholm Sweden Oct 31 1967
01. Agitation
02. Footprints
03. Round About Midnight
04. Gingerbread Boy
05. The Theme
MILES DAVIS : Trumpet
WAYNE SHORTER : Tenor Sax
HERBIE HANCOCK : Piano
RON CARTER : Bass
TONY WILLIAMS : Drums
Rome Italy Oct 27 1969
06. Miles Runs The Voodoo Down
07. Sanctuary
08. Directions
MILES DAVIS : Trumpet
WAYNE SHORTER : Soprano Sax, Tenor Sax
CHICK COREA : Electric Piano
DAVE HOLLAND : Bass
JACK DeJOHNETTE : Drums
コメント
この時期のマイルス、もうカリスマでしたね。まさに時代と戦っていた頃の音楽。今聴いても、とてもクールで他を寄せ付けない圧倒的なパワーがありましたね。メンバーも最強です。
実はボク、映像物のブートって、持ってないんですよ。正直言うと、そこまで予算が廻らないのが本音なんですが(笑)昔は、時々、マイルスやパットのブートCDは買ってました♪ 当たり有り外れ有りで、ブートの世界も一種の賭けですね。
風の少年さん,コメントありがとうございます♪
この時期のマイルス=カリスマ=時代と戦っていた頃の音楽=大正解です。
私は公式盤でもブート盤でも「よいものはよい」主義です。ブートはバラツキがありますが,この時期のマイルスの音源はほぼ当たりです。基準は音質のアタリハズレだけのように思っています。