オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス / オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス・ライブ

4.0

OSCAR PETERSON THE QUARTET LIVE FEATURING JOE PASS-1 今でこそユーチューブがあるが,その昔,ジャズメンの映像物は貴重だった。
 見たいけど見れない。一体どんな感じで演奏しているのだろう? 若者の想像力は時に現実を凌駕する。それでついに映像物を目にした時,次の2種類の感想に分けられる。そう。「見てよかった」と「見なければよかった」。

 管理人の個人的な傾向からすると「見なければよかった」に属するのは,超絶技巧系のジャズメンたち。物凄い演奏を期待したがために,概ね評価は「普通」か「期待外れ」。当然といえば当然である。真に期待を裏切る“想像を超えた名演”などそうやすやすと巡り会えるものではない。

 さて,オスカー・ピーターソンである。ジャズ史上,指折りの「達人」である。アドリブでもインタープレイでも,指は超動くし美しい音色で鳴らし続けているのなのノリも最高でソロでもコンボでも名盤のオンパレード。
 そう。「オスカー・ピーターソンにハズレなし」。ケチのつけようのない「ジャズ・ピアノの巨人」である。

 セロニアス・モンクの“踊り”やバド・パウエルの“ドヤ顔”やキース・ジャレットの“軟体動物”を見てきたからこそ,オスカー・ピーターソンにも“秀でた一芸”を期待する。
 なんたってオスカー・ピーターソンは「ジャズ・ピアノの巨人」にして“巨体”持ち。実際にジャズ・ファンの間では「初来日時に座っただけでピアノの椅子を折ってしまった」という逸話も出回っている。
 そりゃ~,巨体を揺さぶりグランド・ピアノを“おもちゃのように弾き倒す”姿を想像するっていうもの!? こんな妄想抱いて何が悪い?

 そうして訪れた管理人と“動く”オスカー・ピーターソンファースト・インプレッション。結果は「いたって普通。どちらかと言えばマイナス寄り」。だってきちんと椅子に座って“お行儀良く”ピアノを弾いてるだけなんだから…。
 そう。セロニアス・モンクバド・パウエルキース・ジャレット(それにミシェル・ペトルチアーニ菊地雅章山下洋輔上原ひろみ)は見たほうがいいが,オスカー・ピーターソンは見ないで聴くだけの方がいい。ネタバレではなく想像力を逞しくしながら聴く方が楽しめると思う。

 そんな管理人の「いたって普通。どちらかと言えばマイナス寄り」なオスカー・ピーターソンDVDとは,1987年,東京五反田簡易保険ホールでのライブOSCAR PETERSON THE QUARTET LIVE FEATURING JOE PASS』(以下『オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス・ライブ』)。

 左腕に腕時計,右腕に金のブレスレットとは恐れ入った。タオルで汗を拭いながらも明らかに運指が速い。しかも猛烈にドライブしている。
 …と同時にベースドラムとのオスカー・ピーターソントリオジャズ・ピアノを弾いている。ギタージョー・パスとも音を重ねていく。【MY ONE AND ONLY LOVE】や【NIGERIAN MARKET PLACE】での素晴らしいハーモニーとインタープレイ
 でもやっぱりDVDで見るオスカー・ピーターソンCDと同じなんだよなぁ~。

 唯一『オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス・ライブ』にDVDの良さを実感できるのはカメラ・ワークと編集ワーク。
 合計7台のカメラが入ったようですが,手元や顔アップのみならず背面撮影や客席からの視線で丸裸。“かゆいところに手が届く”編集者はオスカー・ピーターソンの特徴を良く知っているファンの一人だと思われる。

OSCAR PETERSON THE QUARTET LIVE FEATURING JOE PASS-2 【BLUES ETUDE】での演出はDVDならでは! もしこれがCDであったなら,単純にギターベースドラムの「白熱の掛け合い」と思って聴き惚れてしまうところ! まさか「白熱の掛け合い」の間にオスカー・ピーターソン1人が客席と花束&握手のやりとりに興じているとは思いもよらなかった。

 うん。『オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス・ライブ』を山中千尋DVDスタッフも見てほしい。それ程,完成度の高いカメラ・ワークと編集ワーク。金かかっているよなぁ。

 『オスカー・ピーターソン WITH ジョー・パス・ライブ』は,管理人“最初で最後の”オスカー・ピーターソンDVDと決めている。

 理由ですか? だってもうこれ1枚でお腹一杯なのです。もう1枚見ようものならゲップが出そうなのです。90分間で満腹中枢が限界です。
 オスカー・ピーターソンさん,どうもご馳走さまでした。今後ともCDのみの“濃い”お付き合いをよろしくお願いいたしま~す。

 
01. CAKEWALK
02. LOVE BALLADE
03. SOFT WINDS
04. YOU LOOK GOOD TO ME
05. MY ONE AND ONLY LOVE
06. NIGERIAN MARKET PLACE
07. COOL WALK
08. I CAN’T GET STARTED
09. COME SUNDAY
10. REUNION BLUES
11. IF YOU ONLY KNEW
12. SUSHI BLUES
13. BLUES ETUDE

 
OSCAR PETERSON : Piano
JOE PASS : Guitar
DAVID YOUNG : Bass
MARTIN DREW : Drums

(ビデオアーツ/VIDEOARTS 2002年発売/COBY-91025)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

コメント

  1. クワガッタン より:

    ネットが普及する以前は、好きなアーティストの映像と言うのは、本当に貴重でしたね。その分、大金を出してビデオをゲットした時の感動は大きかったです。今の人こういう感覚、分かるかな~(^_^;このピーターソンライブ、かなり昔、LDで売っていたのを覚えてます。そうですか~ジョー・パスさんも参加してたのですね!アーティストの映像は、見るまで色々想像が膨れますが、期待が大きい分、外れた時のショックは大きいですね(^_^;でも、このライブ作品は、ボリューム満点で一生分の内容が詰まってるようですね!

  2. セラビーセラビー より:

    クワガッタンさん,コメントありがとうございます♪
    「ボリューム満点で一生分の内容が詰まってるようですね!」とは,相変わらず上手いですね~。こちらのコメントのセンスに感服しました。
    私のマイナス寄りのレヴューを見事にプラスに変えてくださっています。「Pocket City」でも決して悪口は書かれません。
    クワガッタンさんはジャズ・ブロガーの鏡です。根っからの“いい人”が伝わっていますよっ。

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