パット・メセニー / オーケストリオン・プロジェクト

4.5

THE ORCHESTRION PROJECT-1 「世界一の音楽バカ」であるパット・メセニーが,その「音楽バカ人生」のありったけの経験と情熱を注入して作り上げた“一世一代の音楽プロジェクト”『ORCHESTRION』(以下『オーケストリオン』)についての情報が徐々に入ってきた。

 管理人なりに要約すると『オーケストリオン』とは,19世紀末から20世紀初頭にかけて興ったアイディアを,現代のテクノロジーを使って機能させ,作曲,即興演奏,パフォーマンスのための自由な新しいプラットフォームを生み出そうとする“機械仕掛けの”新プロジェクト

 具体的には『オーケストリオン』の完成に必要と思える楽器群を,まず職人にオーダーし「発明」された楽器の個性を理解し,役割を与えて長所を引き出す楽曲を制作しプログラミングを組んで自動演奏させる。その「オーケストリオニクス」のアンサンブルの上に“即興で”パット・メセニージャズ・ギターを重ねていく…。

 そんな『オーケストリオン』を期待を抱いて聴いてみた。大変気に入った。そうしたら“猛烈に”『オーケストリオン』の映像を見てみたいと思うようになった。
 そ・ん・な・管理人の願いを叶えてくれたのがDVDTHE ORCHESTRION PROJECT』(以下『オーケストリオン・プロジェクト』)!

 『オーケストリオン・プロジェクト』の元ネタとは,CDオーケストリオン』の延べ120回以上のフォロー・ツアーの“最終公演”としてのスタジオ・ライブ
 果たして,その感想とは画面に映る大掛かりな機材のセットの中に,1人,パット・メセニーがぽつり。ええっ,そうだったの,って感じのパット・メセニーの“独演会”!

 何しろパット・メセニーの共演者は「オーケストリオン楽器軍団」だけなのだから,カメラがどこから抜いても無表情。見ているうちに白けてしまう。こんなことなら見なければ良かった。もっと凄いものが出て来ると期待していたので個人的には残念な結果であった。

 これぞ悪い意味での「百聞は一見に如かず」。現代はアイドルや女優のピンナップも加工修正ばかりだそうだが,生の「オーケストリオン軍団」に少々幻滅。動く「オーケストリオン軍団」に正直ガッカリ。夢はブラウン管の中だけで見るものなのだ~!

 神保彰の「ワンマン・オーケストラ」はCDよりDVDの方が断然いいが,パット・メセニーの「ワンマン・オーケストラ」はDVDよりCDの方が断然いい。
 つまり,これって,パット・メセニーの「ワンマン・オーケストラ」は「未だ未完成」と言う事実。末恐ろしや~っ。

THE ORCHESTRION PROJECT-2 そんな中,DVDオーケストリオン・プロジェクト』の「優位性」を書くとすれば“マルチ・プレイヤー”パット・メセニーの最高のパフォーマンスについてであろう。

 ギター・テクニックを見ているだけでも「お口あんぐり」状態なのだが,フット・ペダルで「オーケストリオン」を自在に操る“マルチ・プレイヤー”パット・メセニーの優雅な姿が神々しい。ますます“我らが”パット・メセニーが,ファンの手の届かない場所へと離れていったようで,うれしいやら悲しいやら…。

 冷静沈着に「疑似」インプロビゼーションを披露するパット・メセニーのモチベーションとは如何ばかり。「ワンマン・オーケストラ」の楽しさの絶頂はレコーディング時だったのか!?
 楽器がズラリと並べられた『オーケストリオン』のジャケット写真を“オカズ”として,あれこれ想像しているリスナーの楽しみの絶頂はCDを聴いている時間にある!?

 真に楽しそうに演奏しているかどうかの判断材料は「映像」にではなく「音」にある。管理人が『オーケストリオン・プロジェクト』から学んだ教訓である。

 
DISC ONE
01. UNITY VILLAGE
  THE ORCHESTRION SUITE
02. – ORCHESTRION
03. – ENTRY POINT
04. – EXPANSION
05. – SOUL SEARCH
06. – SPIRIT OF THE AIR
07. SUENO CON MEXICO
08. IMPROVISATION #2
09. STRANGER IN TOWN

BONUS SONGS
01. IMPROVISATION #1
02. 80/81 – BROADWAY BLUES
03. TELL HER YOU SAW ME
04. ANTONIA

DISC TWO / SPECIAL FEATURES
01. MAKING OF THE ORCHESTRION PROJECT
02. INTERVIEW WITH PAT METHENY
03. ORIGINAL EPK
04. STUDIO SESSIONS:ORCHESTRION
05. STUDIO SESSIONS:EXPANSION

 
PAT METHENY : Guitar, Robotic Angeli Guitar, Orchestronics
( Piano, Marimba, Vibraphone, Orchestra Bells, Basses, Guitarbots, Percussion, Cymbals, Drums, Blown Bottles, And Other Custom-Fabrivated Acoustic Mechanical Instruments )

(ワーナーミュージック・ジャパン/EAGLE VISION 2012年発売/WPBR-90721/2)
(DVD2枚組)
(ライナーノーツ/パット・メセニー,石沢弘治)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

コメント

  1. ホームズ より:

    ご無沙汰しています。
    レビューを読んでて私は、同じタイトルのCD盤(2枚組)を中古で買ってで聴いたことを思い出しました。
    これが発売された頃にyoutubeに自動でプログラミングされてる楽器を横目にしつつメセニーがギターを演奏する映像を見た時は、衝撃でした。坂本龍一の自動演奏のピアノと一緒に演奏してる映像を見た時、以来の衝撃でしたよ。
    『オーケストリオン』のタイトルチューンは、スタジオ盤でも収録時間が長いですが、くせになって、リピートをしまくっていた記憶もあります。
    12月3日にBSフジで放送された THE SQUARE「31年振りのザ・スクエア@横浜ライブ 特別編」コンサートライブ特別編の映像がyoutubeにあったので見ましたが、スクェア2期の和泉さん、田中さん、長谷部さんのあのセクションの演奏が、節目の野音以外で観られるとは。「オーメンズ」,「黄昏で見えない」,「トゥモローズ・アフェア」,「マジック」,「オールアバウトユー」,「トラヴェラーズ」の6曲が上がってましたが、特に「黄昏」は貴重ですね。初めてライブテイクを聴いたような。

  2. セラビーセラビー より:

    ホームズさん,コメントありがとうございました♪
    私も『オーケストリオン』のCDを聴いた時にどうしても映像を見たくなりました。そしてこのコメントを読んで今は坂本龍一の自動演奏のピアノと一緒に演奏してる映像が見たくなりました。
    もちろんザ・スクェアの「黄昏で見えない」も見てみます!

  3. ホームズ より:

    誤解を生む書き方になってたようなので、一応書いておきますが、坂本龍一(愛称は教授)がメセニーと共演してる訳ではないです。教授の単独のものです。昔、NHKのSongsに出演した時に「Tibetan Dance」という代表曲をやったのですが、「1台は生演奏、もう1台は事前に教授が弾いた演奏をデータ化し自動演奏させる」というものでした。映像は、https://www.youtube.com/watch?v=FpIupeiHdq8です。旅館だったり、ホテルにあるような、自動演奏のピアノとは、違うものを感じました。

  4. セラビーセラビー より:

    ホームズさん,コメントありがとうございました♪
    ホームズさんの最初の文章で正確に伝わっていました。こちらこそ誤解を生む書き方になってたようで申し訳ありません。
    ユーチューブのURLもありがとうございました。またスーパートリビア,教えてくださればうれしいです。

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