アート・アンサンブル・オブ・シカゴ / ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993

4.0

ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993-1 アート・アンサンブル・オブ・シカゴにどっぷりとハマッテ10年。欲しいCDは大抵買い揃えたのだが,それでもなんだか足りない。深い部分で理解できていない思いが拭えない。

 この場合の特効薬はやっぱり映像ものでしょう。特にアート・アンサンブル・オブ・シカゴの場合は,アメリカの米米CLUBなのだから(←全然違うが)ステージングを映像で見ないことには,表現の全貌を知ることなどできない。音楽だけではアート・アンサンブル・オブ・シカゴの魅力を語ることはできない。

 だからDVDを1枚見たからといって,大同小異なのであるが,それでもLIVEに1回参加するだけでも,そのジャズメンの理解が点から線に変わるように,たった1枚のDVDを見たおかげで,長年の疑問が1つ1つ解決されていく思いがしたのは事実である。

 管理人が購入したアート・アンサンブル・オブ・シカゴDVDとは『ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993
なるブートDVDである。
 演奏内容は良くないし,映像も良くないし,歴史的価値もないのだが,管理人にとっては初めての“動く”レスター・ボウイジョセフ・ジャーマンロスコー・ミッチェルマラカイ・フェイヴァーズドン・モイエであったし,大量の打楽器群のフル活用を目撃できるとあって,しばらくは「お宝」映像の一番手。それなりに思い入れのあるDVDではある。

 『ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993』とは『SALUTES THE CHICAGO BLUES TRADITION』のナンバーをスイスジャズフェステイバルで演奏したDVD

 これが結構,アルバムに忠実なフォロー・ツアーであって,アート・アンサンブル・オブ・シカゴの5人以外に大勢のゲストが参加しているし,ソロ・パートはそんなゲストたちに長めの時間を与えているのが敗因である。
 レスター・ボウイの「連れ」であるジェームス・カーターフランク・レイシーは別として,ギターオルガンヴォーカルは要らなかったかなぁ。

 その意味で『ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993』の見所は,冒頭の2曲【SOUNDCHECK】と【FOLKUS】である。
 『ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993』を再生して数分後の感想は大抵の人が同じだろう。「何だこの長尺のサウンドチェックは~。こんなの全カットしてその分演奏時間を1秒でも長く収録してよ~」なのだろうが,特にこれといった見所のない本編を見終えると「サウンドチェックの映像は貴重だった」へと変化する。

 そしてDIWへ移籍してからの「ゲスト入りのアート・アンサンブル・オブ・シカゴ」での約束事であるのだが,アルバムに1曲だけはメンバー5人だけで演奏するトラックがある。
 それをLIVEでも周到する形で【FOLKUS】はアート・アンサンブル・オブ・シカゴのオリジナル・メンバーだけの演奏であるが,これを管理人は見たかった。 

ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993-2 アート・アンサンブル・オブ・シカゴの真髄とはパーカッションアンサンブル・オブ・シカゴであった。
 アート・アンサンブル・オブ・シカゴと来れば,個人的にはレスター・ボウイロスコー・ミッチェルなのだが,その2人にしてもパーカッションで見事なアンサンブルに加わっている。ミニマルなリズムが徐々に深い陶酔感をもたらしていく。

 あの土着的な打楽器だけの即興アンサンブルが実に音楽的に鳴っていて,このままずっと聞いていたい,と思わせてくれる。
 即興ともテーマとも判別しがたい展開の中,パーカッションアンサンブルのテンポ,リズム,テクスチャーがどんどん変化し,その合間にレスター・ボウイロスコー・ミッチェルアドリブで切り込んでいく。

 もう1人のフロントマンであるジョセフ・ジャーマンの状態も窺い知れる映像である。ジョセフ・ジャーマンサックスはこの大所帯の中ではイマヒトツ。ジェームス・カーターに力負けしている。
 ジョセフ・ジャーマンの『ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993』の見せ場はサックス奏者としてよりもパーカッション奏者としてのジョセフ・ジャーマンであった。

 この全てが貴重なドキュメンタリー・フィルムである。
 ジョセフ・ジャーマンアート・アンサンブル・オブ・シカゴを脱退したのは『ESTIVAL JAZZ LUGANO 1993』の数カ月後のことである…。

 
01. Soundcheck
02. FOLKUS
03. BLUES FOR ZAZEN
04. FUNKY T.
05. NIGHT TIME IS THE RIGHT TIME
06. THE SOTY OF THE BLUES
07. MANNISH BOY
08. ONE MORE TIME
09. ODWALLA

 
ART ENSEMBLE OF CHICAGO
LESTER BOWIE : Trumpet
ROSCOE MITCHELL : Reeds, Percussion
JOSEPH JARMAN : Reeds, Percussion
MALACHI FAVORS : Bass, Percussion
DON MOYE : Drums, Percussion

FRANK LACY : Trombone
JAMES CARTER : Tenor Saxophone
AMINA CLAUDINE MYERS : Organ, Vocal
CHICAGO BEAU : Harmonica, Vocal
HERB WALKER : Guitar

(ネクロマンサー/DEEP THOUGHT PICTURES 2008年発売/DTVD-0006)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

コメント

タイトルとURLをコピーしました