ビル・エヴァンス / 1965 JAZZ 1 & 2

4.5

1965 JAZZ 1 & 2-1 『1965 JAZZ 1&2』はVHSで発売されていた『JAZZ 625 TRIO Ⅰ』『JAZZ 625 TRIO Ⅱ』をDVD化にあたり1枚にまとめて発売されたもののプロモーション盤である。

 ビル・エヴァンスの動画もユーチューブ等で無料で視聴できる時代にあっては無意味なのかもしれないが,個人的にはPCではなくTVの大画面&大音量でビル・エヴァンスを楽しみたい夜もある。
 管理人にとって2021年のコロナ禍で迎えるGWの楽しみの1つがDVD鑑賞。昨年と同じく「ステイホーム」なGW用にヤフオクで購入した次第。

 ビル・エヴァンスの動画を見るのは初めてではないはずなのに“動く”ビル・エヴァンスに感動を覚える。
 『1965 JAZZ 1&2』で見るビル・エヴァンスの映像は『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』での,うつ伏して沈み込んでピアノを弾くビル・エヴァンスのまんまであった。

 『JAZZ 625 TRIO Ⅰ』『JAZZ 625 TRIO Ⅱ』の元ネタとは,1965年にイギリスのBBCで放送されていた「ジャズ625」なるジャズのTV番組。
 ちなみになぜ“625”の名称が付けられているのかと言うと,64年にイギリスで採用されたテレビ放送システムの走査線の数“625”にちなんだもので,音と映像が格段に良くなった,だからこそのジャズ番組。昔のFMラジオにジャズ番組が多かったことと同じ理由? 

 『THE COMPLETE LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD』はジャズ・クラブ,『JAZZ 625 TRIO Ⅰ』『JAZZ 625 TRIO Ⅱ』はTVスタジオなので,演奏の雰囲気は全然違うだろうし,ベーシストスコット・ラファロではなくチャック・イスラエルドラマーポール・モチアンではなくラリー・バンカーだし雰囲気が全然違う。

 でもそんなの関係なしに痺れてしまうんだよなぁ。それくらいに“動く”ビル・エヴァンスというのは何度見ても感動を覚える存在であって,例えば,動物園のパンダでもコアラでも,とりあえず動いてくれれば満足ですよね? 笹とかユーカリを食べているところを見たいとか,そんな贅沢なことは言いません。せめて右手だけでもちょっと動かしてくれれば満足すること間違いなし!

 “動く”ビル・エヴァンスの場合もこれと同じで,ビル・エヴァンスが右手はおろか,ちゃんと左手まで動かしてピアノを弾いてくれていて,しかも時折,首まで上下してくれる。これ以上,何を求めることがありましょうか?
 ましてや,曲の演奏終了後に客席に一礼して,満足そうに笑みを浮かべるビル・エヴァンスの表情を見られるなんて。ウォーッ!

 モノクロだし,モノラルだし,TV収録用の演奏だし,小粒のベーシストドラマーだし…。
 正直『1965 JAZZ 1&2』への期待値は30%くらいだったのですが,見終わった今,管理人は猛烈に感動しております。満足度120%で心まで震え出しております。

1965 JAZZ 1 & 2-2 管理人の結論。『1965 JAZZ 1&2批評

 『1965 JAZZ 1&2』のおかげで,今までも大絶賛してきた『TRIO ’65』の株が更に上がった&チャック・イスラエルの株も上がった。

 確かにビル・エヴァンストリオの最高のベーシストスコット・ラファロであり,次点はエディ・ゴメスであろう。そんな先代と後代に挟まれたチャック・イスラエルは決まって低評価であるが,この映像を見る限り,断じてそんなに悪いベーシストではない。

 本当のLIVE会場にいたなら,管理人もビル・エヴァンスばかりを見つめているはずだが,残念ながらDVDでは視線を選ぶことができない。
 それで無条件に,ほぼ全トラックでベースソロを披露しているチャック・イスラエルの手元のアップを眺める時間が長い。チャック・イスラエルの確かな技術と堅実なリズム・キープを,隣りにいるビル・エヴァンスが頼りにしている様子が映像から伝わってきてうれしくなった。

 イェイ,チャック・イスラエル!  イェイ,『TRIO ’65』! イェイ,ビル・エヴァンストリオ

 
{1965 JAZZA 625 :1}
01. OPENING:THEME
02. ELSA
03. SUMMERTIME
04. COME RAIN OR COME SHINE
05. MY FOOLISH HEART
06. RE:PERSON I KNEW
07. ISRAEL
08. THEME

{1965 JAZZA 625 :2}
01. OPENING:THEME
02. HOW MY HEART SINGS
03. NARDIS
04. WHO CAN I TURN TO
05. SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
06. HOW DEEP IS THE OCEAN
07. WALTZ FOR DEBBY
08. THEME

 
BILL EVANS : Piano
CHUCK ISRAELS : Bass
LARRY BUNKER : Drums

(バップ/VAP 2000年発売/VPBR-11069)
(非売品/プロモーション盤)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

コメント

タイトルとURLをコピーしました