『PARKER’S MOOD』の1曲目は【STELLA BY STARLIGHT】(以下【星影のステラ】)。
【星影のステラ】の名演は多いが,キース・ジャレットとチック・コリアの代名詞的ナンバーなので,ピアノによる“静かな”プレイ向きという印象を持っている。
しかし【星影のステラ】には,パーカー,マイルス,ミンガスといった,ハード・バップの“ホットな”名演が残されていることも忘れるわけにはいかない。
さて,渡辺貞夫である。ナベサダ流の【星影のステラ】は断然後者! イントロの“スーッ”とした印象はご愛敬。すぐにバックを引っ張る(バックにあおられ?)熱気を帯びてくる。メンバー全員が馴染みの曲なのだろう。よく歌っている。
3分35秒からのジェームス・ウィリアムスのピアノ・ソロが非常にダイナミック。6分25秒からのチャーネット・モフェットのベース・ソロもハイ・テクニックでメロディーを奏でていく。
しかし,このトラックの主役は“格上”渡辺貞夫である。【星影のステラ】の持つロマンティックな響きを“あの”渡辺貞夫のアルト・サックスの音色が飾り付けしていく。“世界一”のアルト・サックスの音色に“グッと”きてしまい,あれだけのバックの好演も耳には残らない。
そう。『パーカーズ・ムード』での【星影のステラ】は,渡辺貞夫の「次元を超えた名演」なのである。
SADAO WATANABE : Alto Saxophone
JAMES WILLIAMS : Piano
CHARNETT MOFFETT : Bass
JEFF WATTS : Drums
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