イエロー・ジャケッツ / ポリティクス

5.0

POLITICS-1 ウェザー・リポート亡き後,ジャズ界を強力に引っ張るコンボは未だ現われていない。
 パット・メセニー・グループにしてもフォープレイにしても,発売と同時にマニアからも批評家からも絶賛,もしくはバッシングされるような“一目置かれる存在”までには達し得ていない。

 必須条件はコマーシャルな部分とマニアックな部分が絶妙に同居したコンボ。多くのジャズメンが尊敬し目標とする存在であると同時に,一般大衆受けする“伝説のコンボ”。そのようなコンボは管理人にとってウェザー・リポートが最後なのである。

 そんな中,真のジャズ・コンボとして管理人がずっと期待しているのがイエロー・ジャケッツである。
 イエロー・ジャケッツも,早いもので,もう結成20ウン年。現状は明らかに“期待外れ”ではあるのだが,いえいえ,管理人はまだあきらめきれていない。

 外野では「伸び悩み」「今一歩煮え切れていない」「売れ線に走った」等,イエロー・ジャケッツへの厳しい意見がささやかれていることも十分承知している。
 しかし,他のジャズ批評家たちが何を言おうと,イエロー・ジャケッツは今でも管理人の心を“揺さぶり続けている”。
 イエロー・ジャケッツが姿勢においてジャズ・コンボであり続けようとする限り,真にクリエイトなジャズが今でも創造されている,と断言できる。

 イエロー・ジャケッツにこれ程“入れ込む”ようになったきっかけが,名盤POLITICS』(以下『ポリティクス』)である。そう。言わずと知れたグラミー受賞作
 しかし,イエロー・ジャケッツにとって『ポリティクス』は別の意味での金字塔! そう。『ポリティクス』とはイエロー・ジャケッツが,フュージョン・バンドからジャズ・コンボへの転向を高らかに“宣言”した「記念碑的な」アルバムなのである。

 誰だって自分のそれまでのスタイルを変化させる際には,勇気や力がいる。踏ん切りがいる。女性の気持ちは良く分からないが,髪型一つ変えるだけでも大騒ぎである。
 それがある意味,今より人気がない方向への変化だとしたらどうか? “古い”とか“時代遅れ”とか,マイナスに語られることが多いスタイルに,あえてイメチェンするだろうか?
 イエロー・ジャケッツは正にそれをやってのけた。人気フュージョン・バンドからジャズ・コンボへの“華麗なる”転身である。この姿勢に管理人は,たまらなく,たまらなくグッときてしまった。

POLITICS-2 今思えばちょうど失恋した直後のように,ウェザー・リポートを失い,傷心しきったハートのスキを,彼らがたまたま射止めただけだったのかもしれない。
 しかし仮にそうだったとしても,その当時『ポリティクス』には何度も癒やされ,熱狂させられた。満たされない心を埋めてくれる,新たな恋人と出会った時に感じる“トキメキ”があったのだ。
 ん? 仮になどは必要ない。れっきとしたグラミー受賞作なのだから…。

 管理人の結論。『ポリティクス批評

 『ポリティクス』にはウェザー・リポート解散後失われていた“真にグレートな”ジャズ・コンボの音がある。この特有の緊張感は並のコンボでは表現不可能。現代では唯一,イエロー・ジャケッツでなければ“奏でられない音”が記録されている。

 カムバック! イエロー・ジャケッツ! もうイメチェンなどしないでおくれ!
 フュージョン路線のイエロー・ジャケッツも大好きだけど,ジャズにアプローチするイエロー・ジャケッツが最高に好き!

 
01. OZ
02. TORTOISE & THE HARE
03. LOCAL HERO
04. GALILEO
05. FOREIGN CORRESPONDENT
06. DOWNTOWN
07. HELIX
08. AVANCE
09. ONE VOICE
10. EVENING DANCE

 
YELLOWJACKETS
RUSSELL FERRANTE : All Keyboards
JIMMY HASLIP : 5-Strings Bass
MARC RUSSO : Saxophone
WILLIAM KENNEDY : Drums

ALEX ACUNA : Percussion
STEVE CROES : Synclaviet

(MCA/MCA 1988年発売/25XD-1091)
(ライナーノーツ/松下佳男)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

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