アル・ディメオラ / エレガント・ジプシー

4.5

ELEGANT GYPSY-1 管理人は何を隠そうヘヴィメタ育ち。エヘヘ。
 フュージョンに出会ったのは中1の頃。それはヘヴィ・メタルに代わるヘヴィ・メタルに似た音楽を探していたから!

 もう少し詳しく書くとヘヴィ・メタルのギターが大好き。だけどあの暴力的で不道徳で退廃した歌詞が大嫌い。
 「ヘヴィ・メタルのようなインスト」ということがきっかけで,初めてフュージョンに接した。そしてフュージョンからジャズに来た。そういう人間なのである。

 でもきっと最初からジャズフュージョンに接していたならば,恐らくはヘヴィ・メタルに興味を持つこともなかったかもしれない。
 そう思える理由がある。“超絶技巧”ギタリストアル・ディメオラの『ELEGANT GYPSY』(以下『エレガント・ジプシー』)は,大人になった今聴き直してみても,当時の管理人が必要としていた「ヘヴィ・メタルのようなインスト」そのもののような音楽だからである。
 個人的にはヘヴィメタやハード・ロックやプログレ・ファンをジャズフュージョンに引き込むための「最初の1枚」として推している。

 『エレガント・ジプシー』におけるアル・ディメオラギターとは「早弾き&ディストーション」。アル・ディメオラの早弾きはメタルのギターを完全に超えてきている。
 ただしアル・ディメオラギターは,尊敬するパコ・デ・ルシアとの共演前の猛練習のしなのか? あるいは当時「師匠格」のチック・コリアからの影響なのか? 王道のジャズフュージョンではなくスパニッシュでフラメンコ・ギター寄りの早弾きなので,この辺りで好き嫌いは出るように思う。

 そういうことで,ギンギンギラギラ“火を噴くギター”目当ての管理人としては(アコースティックギターやフラメンコ・ギターには無関心なので)『エレガント・ジプシー』と来れば【レース・ウィズ・デビル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ】の一択である。
 あれれ? 【デビル】という曲名は管理人がヘヴィ・メタルから離れた理由と矛盾していない?

 勿論『エレガント・ジプシー』には【フライト・オーヴァー・リオ】と【エレガント・ジプシー組曲】というキラー・チューンが収録されているのだが,この2トラックについてはアル・ディメオラギターというよりもヤン・ハマーのシングル・トーンのキーボードギター・ライクでツインギターのように聴こえる瞬間が大好物。

 アル・ディメオラヤン・ハマーの共演についての感想を書くと,ヤン・ハマーが「もろチック・コリア」であるために「もろリターン・トゥ・フォーエヴァー」の雰囲気がする。
 だから管理人の『エレガント・ジプシー』の真の評価とはアル・ディメオラソロ・アルバムというよりも,アル・ディメオラ在籍時の「第二期リターン・トゥ・フォーエヴァー」からの“派生”アルバムだと思っている。

 さて,話を【レース・ウィズ・デビル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ】に戻すと,あのイントロが流れてくるだけで今でも背筋がゾクゾク。とにもかくにもアル・ディメオラの非暴力なのに圧倒的な破壊力にただただひれ伏してしまう。アル・ディメオラのおぞましい早弾きには,真に「高速道路で悪魔とやりあう」ぐらいの勢いがある。

 ハンマリングやスウィープなしでのフルピッキングでの早弾きは,何度聴いても理解不能な「前人未到の早弾き」であってアドレナリンが止まらない。早さだけではなく音の粒が立っているし,アクロバティックなのに機械的で正確なビート(もはや検証など不可能)を刻んでいる。
 少しスピードを落とした緩い演奏の時間帯では,アル・ディメオラの繰り出すハーモニック・マイナー・スケールでの“強い情感”と言うか“魂の叫び”と言うべきか,テクニックを超えた部分で胸の奥に訴えかけてくる。心臓を“鷲掴み”される思いがするのだった。

ELEGANT GYPSY-2 そんなアル・ディメオラの“超絶技巧”を何倍にも引き立てているのが,キーボードバリー・マイルスであり,ベースアンソニー・ジャクソンであり,ドラムレニー・ホワイトであり,パーカッションミンゴ・ルイスによる「極上のバンド・アンサンブル」にある。

 アル・ディメオラが「極上のバンド・アンサンブル」をバックに,仮想ヘヴィメタ,仮想ハード・ロック,仮想プログレ・バンドのギタリストとして“輝いている”! アンソニー・ジャクソンの“グルーヴする”ベースが全員のバランスを取りながら,実にドラマティックな展開で演奏が進行していくから,サビのギターが強烈に印象に残る仕掛けである。最後は“ギターに酔いしれる”!

 管理人の結論。『エレガント・ジプシー批評

 『エレガント・ジプシー』で披露されるアル・ディメオラの圧倒的なギター・テクニックは【高速悪魔との死闘】を終えて,ヘヴィ・メタル・ギターを越え,フュージョンギターを越え,全世界の「ギター小僧」に届けられた「ギターの神様」からの贈り物である。

PS 管理人の中学時代のフュージョンギターの“象徴”であり“入り口”と来れば,恐らくはリー・リトナーでありラリー・カールトン等の“超絶”メロディアス系なのであろうが,脱ヘビメタにはリー・リトナーではなくラリー・カールトンでもなくアル・ディメオラでなければならなかったと今でもアル・ディメオラに出会えた幸運に感謝しています。でも今ではアル・ディメオラの印象はソロではなく「リターン・トゥ・フォーエヴァーギタリスト」程度の印象で,リー・リトナーラリー・カールトンの音楽をアル・ディメオラの何十倍も多く聴いて生活しております。「きっかけ」作りをありがとう!

 
01. FLIGHT OVER RIO
02. MIDNIGHT TANGO~PERCUSSION INTRO
03. MEDITERRANEAN SUNDANCE
04. RACE WITH DEVIL ON SPANISH HIGHWAY
05. LADY OF ROME, SISTER OF BRAZIL
06. ELEGANT GYPSY SUITE

 
AL DiMEOLA : Electric Guitar, Electric 12 String Guitar, Acoustic Guitar, Acoustic Piano, Castanets, Arp Synthesizer, Arp String Ensemble, Maracus, Timbales, Percussion
PACO DE LUCIA : Acoustic Guitar
JAN HAMMER : Electric Piano, Mini Moog
BARRY MILES : Electric Piano, Acoustic Piano, Mini Moog
STEVE GADD : Drums
LENNY WHITE : Drums, Timbales
ANTHONY JACKSON : Bass Guitar
MINGO LEWIS : Congas, Shakers, Timbales, Cowbell, (Background Synthesizers : Arp Odyssey, Arp Sequencer, Percussion, Organ)

(コロムビア/CBS 1977年発売/SRCS 7005)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

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