ジャック・ルーシェ / プレイ・バッハ

4.0

PLAYS BACH-1 「ジャズとクラシックの融合」。この永遠のテーマを最初に実現させたのが,クラシック畑育ちの“ジャズ・ピアニスト”ジャック・ルーシェであろう。

 ジャック・ルーシェと来れば『PLAYS BACH』(以下『プレイ・バッハ』)である。
 『プレイ・バッハ』の名演が,クラシック・ファンからの反発とジャズ・ファンからの反発を沈黙させ「ジャズとクラシックの融合」を加速させ,ひいては「ジャズと映画音楽の融合」「ジャズとポップスの融合」への道を開いたのだ。

 そう。個人的に一番身近なクラシックとは「ECM NEW SERIES」であるが,ジャック・ルーシェの秀でたアレンジ力と優れたバランス感覚が,マンフレート・アイヒャーやクラシック界やジャズ界,ひいては多くの音楽家のアイディアを刺激してきたのだ。

 そんなジャック・ルーシェの代名詞である『プレイ・バッハ』とは,バッハの名曲をジャズ化したアルバムであるが,ジャック・ルーシェがクラシックの名曲をジャズ化するための題材として,多くのクラシックの作曲家の中からバッハを選んだことが興味深いと思う。

 「ジャズとクラシックの融合」と来れば,真っ先に名前が挙がるであろうガーシュウィンバルトークなどは切り離して置いておくとして,古典で有名なのがバッハとかベートーヴェンとかシューベルトとかモーツァルトとかショパンとか…。

 その並びの中でバッハの曲は特にジャズとの相性が良い! その最大理由はバッハの曲の多くが「ダンスするため」に書かれていること。
 「ダンスするため」ということはテンポが一定であるということであり,それってつまり等速ビートでのスイングであり,スイングと来ればジャズの本質!

 『プレイ・バッハ』でジャック・ルーシェがアレンジしたリズムも,4ビート,そしてスイング! 『プレイ・バッハ』はクラシックなどではなく,これぞジャズそのものであって「バッハジャズ」なる言葉が自然発生的に出てきた事実に納得してしまう。

 そしてバッハジャズ化が成功した,2つ目の理由は即興演奏に向いている楽曲が多いということ。
 なにせバッハという音楽家は,作曲家としてだけではなく「即興演奏家」としても世間に知られた存在だったらしい。バッハという音楽家は多作家で1000以上の曲を書いたらしいが,その楽曲をお披露目する会でも即興入りで演奏したそうである。バッハの頭の中には1000曲のメロディーではなく3000曲ぐらいのメロディーが流れていたのかも?

PLAYS BACH-2 そんな「3000曲のメロディー」の仮説を実際に具現化してみせたのが「バッハジャズ」のジャック・ルーシェであり『プレイ・バッハ』である。
 勝手知ったる名曲が見事にスイングしていく“快感”を味わうことができる。「即興演奏家」ヨハン・ゼバスティアン・バッハが『プレイ・バッハ』に降臨した“趣き”を感じることができる。

 管理人はジャック・ルーシェの『プレイ・バッハ』を中学の音楽の授業で習わなくて本当に良かったと思っている。もし,あんな多感な時期に「バッハジャズ」と出会っていたら,音楽の授業中にも関わらず昇天してしまったであろうし,すでに右足が「ジャズの底なし沼」に半分ハマッタ状態なのに,残る左足も「クラシックの大海」にどっぷり…。あぁ,どうしよう…。
 そんな,人生の道を踏み外した,自分の姿が容易に想像できるのでありました…。

 …と最後に本音を書いておく。ジャック・ルーシェは「カヴァー専門の人」なので相対的に評価は下がる。「バッハジャズ」を世間に知らしめたジャック・ルーシェの功績は大きいが,バッハジャズ化した名演が今となってはザックザク。“原曲の崩し”に終始したジャック・ルーシェアドリブは今となっては逆にジャズの古典であって「一周回って」クラシック感ありあり~。

 
DISC 1
01. Toccata and Fuga in D minor
02. Air on the G string
Concerto in D major ―
03. Allegro
04. Andante
05. Allegro
06. Little Fuga in G minor
Concerto in C major ―
07. Allegro
08. Adagio
09. Allegro
10. Passacaglia in C minor
11. Partita in E major
12. Concerto vivace in C major First movement

DISC 2
01. Gavotte
02. Minuet in G major
03. Pastorale
04. Choral
05. Prelude No.3 in C major
Concerto in F minor ―
06. Allegro
07. Largo
08. Presto

 
JACQUES LOUSSIER : Piano
VINCENT CHARBONNIER : Bass
PIERRE MICHELOT : Bass
ANDRE ARPINO : Drums
CHRISTIAN GARROS : Drums

(エニー/ANY 2001年発売/FZCP 40536~7)
(CD2枚組)
(ライナーノーツ/小川隆夫)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

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