ヴィニー・カリウタ / VINNIE COLAIUTA

4.5

VINNIE COLAIUTA-1 ドラマーについては(勿論,他の楽器についても無知ではありますが)熱く語れるほどの知識と自信を持ち合わせていない管理人。ブライアン・ブレイドが登場する前までは「お奨めのドラマーは?」と尋ねられたなら,ヴィニー・カリウタと答えていた。
 ブライアン・ブレイドは本当に凄いと思うのだが,ヴィニー・カリウタの方も負けてなどいない。思うにジャズフュージョン界においてブライアン・ブレイドの名声がこれほど高まった理由には,ヴィニー・カリウタが歌ものへ行ってしまった理由が大きい。TOTOジェフ・ポーカロが亡くなった後,ヴィニー・カリウタジェフ・ポーカロのポジションを務める機会が多いように思う。

 それで今回のヴィニー・カリウタ批評の目的は,管理人からヴィニー・カリウタへのラブコール! ヴィニー・カリウタさん,早くジャズフュージョンに戻ってきて~!
 ヴィニー・カリウタの『VINNIE COLAIUTA』(以下『ヴィニー・カリウタ』)を聴き返す度にこの思いを強くする。「JING CHI」での超名演を聴き返す度に「もっともっとヴィニー・カリウタ~」の思いを強くする。ヴィニー・カリウタさん,早くジャズフュージョンに戻ってきて~2!

 ヴィニー・カリウタの1stソロヴィニー・カリウタ』は,ソロ・アルバムだからできた「実験作」。ヴィニー・カリウタが「披露したくとも披露する機会のなかった」ドラミングのスーパー・テクニックを見せつけるために?自分自身で難曲を書いている。
 だから硬派な曲調がズラリと並び,BGMには成り得ない『ヴィニー・カリウタ』は,正直,流しているだけでも疲れてしまうし,このアルバムをレヴューするには多大なエネルギーを要する。だから上手く書けていないとしても軽く読み飛ばしてくださいませ(保険)。

 だって極論を書けば,ヴィニー・カリウタの凄さを伝えるためには『ヴィニー・カリウタ』を聴いてくれ,ではなくて「チック・コリアアコースティック・バンド」の『LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO』を聴いた方が早いのだから!
 『LIVE FROM THE BLUE NOTE TOKYO』とは,レギュラー・ドラマーデイブ・ウェックルからヴィニー・カリウタへと交代した「“NEW”AKOUSTIC BAND」のライブ盤で「チック・コリアアコースティック・バンド」のレパートリーをそのままステージにかけただけなのに,雰囲気がガラリと変わっている。ヴィニー・カリウタのハードボイルドで辛口なドラミングに引っ張られ,それまでのメカニカルなイメージから脱却し,アグレッシブで攻撃的なピアノ・トリオに変貌している。鬼のヴィニー・カリウタが使った魔法が半端ない。

 ヴィニー・カリウタとしては,そんな「“NEW”AKOUSTIC BAND」を超えるべく,チック・コリア以上の難曲を演奏する,というのが『ヴィニー・カリウタ』のコンセプト!?
 ゆえに『ヴィニー・カリウタ』の聴き所とは,本職の“ドラマーヴィニー・カリウタから離れて“コンポーザー”ヴィニー・カリウタフィーチャリング! この結論に辿り着いたので,現在のヴィニー・カリウタの「歌もの志向」に納得できた。

 アルバムのコンセプトが「バカテク披露」なのだから『ヴィニー・カリウタ』のハイライトは超絶リズム・ショー。多種多様なドラミングが「ここぞ」というタイミングで登場する。そんなドラミングから派生するリズムがモチーフの核となり,その上にメロディーが乗っかっている。アーキテクトな手法だと思ってよい。

VINNIE COLAIUTA-2 ここで登場するのが『ヴィニー・カリウタ』の肝となる“コンポーザー”ヴィニー・カリウタ! “ドラマーヴィニー・カリウタの全オーダーを可能にするのが“コンポーザー”ヴィニー・カリウタの音楽眼! ジャズフュージョンだけでなく,ロック,ヒップホップ,ワールドミュージックの要素がぐっちゃぐちゃにコラージュされて完成した繊細なフレーズと独特のタイム感とアンサンブルは“コンポーザー”ヴィニー・カリウタの存在なしには完成できなかった大仕事!

 ただし『ヴィニー・カリウタ』制作時点でのヴィニー・カリウタの構築美は曲単位まで。アルバム1枚トータルで構築することはできていない。どっちかと言えば,やりっぱなしで打ちっぱなしのとっちらけ~。そしてやり過ぎ感があるから眉間にシワ~。何度聴いてもやっぱり疲れる~。
 
 それで『ヴィニー・カリウタ』の難曲は,1曲毎に立ち止まって「パーツ」毎に鑑賞してほしい。『ヴィニー・カリウタ』を曲単位で聴き込むことで,最初は不思議な形状がおぼろげに見え始め,やがて美しいフォルムの構造物の全貌が見えてくる(はず)。

 読者の皆さんには“ドラマーヴィニー・カリウタの後ろに“コンポーザー”ヴィニー・カリウタの大仕事が見えていますか?

 
01. I’m Tweeked/Attack of the 20lb Pizza
02. Private Earthquake:Error 7
03. Chauncey
04. John’s Blues
05. Slink
06. Darlene’s Song
07. Momoska (dub Mix)
08. Bruce Lee
09. If One Was One

 
VINNIE COLAIUTA : Drums, Keyboards, Additional Keyboards, Bass, Shekere, Timbales, Triangle, Conga, Synth, Synth loop, Sample Programming, Bass Programming, All Samples, Electric Razor
MICHAEL LANDOU : Guitars
DOMINIC MILLER : Guitars, Nylon Guitar
MIKE MILLER : Guitars, Nylon Guitar
NEIL STUBENHAUS : Bass
PINO PALLADINO : Bass
STING : Bass
JOHN PATITUCCI : Bass, Acoustic Bass
TIM LANDERS : Bass
SAL MONILLA : Bass
CHICK COREA : Acoustic Piano
HERBIE HANCOCK : Piano Solo
DAVID SANCIOUS : Organ
DAVID GOLDBLATT : Synthesizers, Rhodes
STEVE TAVAGLIONE : Tenor Saxophone, Soprano Saxophone
JEFF BEAL : Muted Trumpet, Flugelhorn
RON MOSS : Trombone
LOU CANOVA : Additional Sounds

(ストレッチ・レコード/STRETCH RECORDS 1994年発売/MVCL-17007)
(ライナーノーツ/ヴィニー・カリウタ,松下佳男)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

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