ブラッド・メルドー / LIVE IN TOKYO / PARANOID ANDROID

5.0

『LIVE IN TOKYO DISC TWO』の6曲目は【PARANOID ANDROID】(以下【パラノイド・アンドロイド】)。

 レディオヘッドのロックな曲が19分29秒もの長尺の演奏になるなんて…。
 ブラッド・メルドーにとって【パラノイド・アンドロイド】はイメージするためのモチーフにすぎない。ブラッド・メルドーにとって【パラノイド・アンドロイド】とは“ロマンティック”だと思う。

 冒頭の静かで幻想的な旋律と和声の美しさから,徐々に妄想に悩まされていくように拡大する左手の低音部が暗く荒々しくも登場する。モチーフが展開されると共に変転していくリズムと不協和音ぼ響きが美しい。

 中盤では急迫感のある執拗なオスティナート,天への祈りのような静かで厳粛な旋律がドラマティックで,特にピアニッシモが絶望的に美しい。弦が震える金属の残響までが音楽の一部になっている。かすかな響きが息絶える瞬間まで操り尽くす,音を消した繊細な表現に震えがくる。

 終盤に現れる,再び疾走するようなミニマル的旋律が次第に崩壊していく。このあきらめにも近い美しいメロディーが崩れさって行く姿こそが,レディオヘッドに通じる“ロマンティシズム”なのだと思う。

 ブラッド・メルドーの“ロマンティック”とは,キース・ジャレットのような強い凝縮力や求心力というのではなく,すっきりとした構成と淀みない流麗な展開で表現されている。
 ブラッド・メルドーの“ロマンティック”にはイメージ喚起力があって,残酷だけれど詩的な美しさのある19分の音物語を演奏している。

 
BRAD MEHLDAU : Piano

LIVE IN TOKYO-1
Live in Tokyo
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