ジョニー・グリフィン / ザ・リトル・ジャイアント

4.5

THE LITTLE GIANT-1 ソロピアノに始まって,デュオトリオ…。
 ジャズは大編成ものより小編成ものの人気が高い。それはジャズメン各人の自由度が高く,より個性を発揮しやすいからなのだろう。

 しかし,真に味あるジャズメンであれば,たとえ大編成の中で演奏したとしても,決して埋没することなく,きっちりと光り輝くものである。逆に言えば,ジャズメンの個性を発揮しやすいのは小編成よりも大編成の方であると言える。
 そう。大編成の中で,アンサンブルを崩すことなく「自分の音」を表現できないのであれば,ソロイストとして大成するのは難しい。言わば大編成というフォーマットはジャズメンの個性を計る“試金石”なのである。

 『THE LITTLE GIANT』(以下『ザ・リトル・ジャイアント』)のフロントには,テナーサックストランペットトロンボーンの3管が並ぶ,ジョニー・グリフィンのセクステット・アルバムである。
 管理人はジョニー・グリフィンの1枚目のアルバムとして『ザ・リトル・ジャイアント』をお奨めしている。なぜならジョニー・グリフィンの場合,ワン・ホーンではなく3管セクステット編成ぐらいが,ジョニー・グリフィンの豪快な個性を“味わう”のに最適と思えるからである。

 『ザ・リトル・ジャイアント』というアルバム・タイトルは,ジョニー・グリフィンのニック・ネームのことでもある。
 そう。ジョニー・グリフィンと来れば,ジャイアント・クラスの「ハード・ブローイング・テナー」が代名詞である。

 ジョニー・グリフィンジャイアント・クラスの個性は抜きん出ていて「ハード・ブロー」だけを取り上げれば,あのソニー・ロリンズジョン・コルトレーンさえも寄せ付けない「超強烈なハード・ブロー」で鳴らすテナー奏者である。

 しかし,管理人が思うジョニー・グリフィンの豪快な個性とは,ジョニー・グリフィン自身のテンションの高さではない。“周囲をハイ・テンションへ取り込むテナーサックス”が素晴らしい。共演者を自分の世界へと巻き込む能力に長けているのだ。

 そう。ジョニー・グリフィンの最大の魅力とは,バンド全体に勇気と迫力を与えることにある。ジョニー・グリフィンが1人入るだけで,平凡な演奏がガラリと変わる。
 サッカー,ブラジル代表の主将“怒れる闘将”ドゥンガがピッチに立った瞬間のあのピリッとした空気感…。

THE LITTLE GIANT-2 試しに誰でもいいからセクステットのメンバー,トランペットブルー・ミッチェルトロンボーンジュリアン・プリスターピアノウイントン・ケリーベースサム・ジョーンズドラムアルバート・ヒースの他の演奏と聞き比べてみてほしい。

 例えば“ジャズの良心”の1人として数えられるブルー・ミッチェルトランペットである。本来ならソフトで優しいトランペットが持ち味であるが『ザ・リトル・ジャイアント』ではジョニー・グリフィンの「毒気」が乗り移ったかのような“前のめりな”演奏が続いている。実に珍しい。ブルー・ミッチェル・ファンにとっては実に貴重な録音である。「熱意は人に伝わる」という言葉は真理である。
 
 ブルー・ミッチェルに限らず,ジョニー・グリフィンの「ハード・ブローイング・テナー」が,セクステットのテンションを上げている。メンバー全員がノリにノッテいる。ジョニー・グリフィンと演奏するのが楽しくてたまらない様子が音の表情から伝わってくる。
 ジョニー・グリフィンの“確信犯”の働きを聴き分けることができたなら,セクステットの豪華な共演,豪快なジャズを心から楽しむことができるだろう。

 
01. OLIVE REFRACTIONS
02. THE MESSAGE
03. LONELY ONE
04. 63RD STREET THEME
05. PLAYMATES
06. VENUS AND THE MOON

 
JOHNNY GRIFFIN : Tenor Sax
BLUE MITCHELL : Trumpet
JULIAN PRIESTER : Trombone
WYNTON KELLY : Piano
SAM JONES : Bass
ALBERT HEATH : Drums

(リバーサイド/RIVERSIDE 1959年発売/VICJ-2206)
(ライナーノーツ/岩浪洋三)
アドリグをログするブログ “アドリブログ”JAZZ/FUSION

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